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【FGO】ルルハワ初夜後のふたり

「夏休みが終わった気分はどうじゃ」 「……まだ孔明先生に出された課題が終わっておりませんので……」 「待て待て、ちくと座れ。行くんならわしも連れてけ」  以蔵さんはどこか不自然なほどの微笑みでわたしの手をがっしりと掴んだまま離さない。大人しくそのまま手を引かれ、ベッドの縁に...
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【FGO】幸せのおすそ分け

 カルデアの食堂にはいつも誰かしらのひとがいた。サーヴァントたちが己らの英雄譚もしくは悪事を話すこともあれば、職員たちが昔懐かしきふるさとの話に花を咲かせることもあった。  わたしは、それらに耳を傾けていることが多かった。何しろ、わたしの知らないお話ばかりなのだ。古今東西あらゆ...
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【FGO】これはすべて夢なのでは

 全身、重たい疲労感に取り憑かれている。レースの応援、マシン調整、その他諸々の後には脱獄の手立てを考えるときた。毎日やることがたくさんあって忙しい。明日も、明後日も、そうやって続いていくのだろう。 「毎日毎日、忙しそうでえいな」 「うん、やることがあるのは楽しいから」  一...
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【FGO】スーツの岡田が書きたかった

 古臭いビルの屋上に立って、煌々と光る新宿のビルを見ている。見知った都会の姿はそこになく、かつての亡霊と物語の気配が漂うだけだ。  ビル風に煽られて髪が踊る。視界を遮られた一瞬の後、視界の端に黒いスーツの人影が過った。 「……なんじゃあここは、血生臭い場所じゃのう」  長居...
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【FGO】冬が嫌いな岡田の話

 冬が嫌いだ。  気配は消せても、吐く息の白さは変えられない。かじかむ指先は剣を持つ手を一瞬遅らせる。何より、呼吸がしづらくなるのが憎い。己の腕を鈍らせる寒さがとにかく嫌だった。  人間であった頃は、酒を飲んでごまかしていた。自分の体すべてがどくどくと脈打っように熱くなって、...
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【FGO】2部時空における1.5部背景イベントって主人公の夢なのでは?

 夢から覚めるのは、いつも唐突だ。見慣れた白い天井、二年も過ごしてくたびれてきた枕とベッド、それに何度涙を吸わせたかわからない毛布にくるまって緩慢に瞬きを繰り返す。  そう、あれは夢なのだ。遠き極寒の土地、美しき氷炎の世界、空から落ちる種子。狭苦しい車内、息の詰まるような潜航。...
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【FGO】メモリアルクエストにて

 びょうびょうと黒い風の鳴く河原で、地獄がふたつ、こちらを見ていた。すらりと背の高く、鋭い眼光を放つ女|黒縄地獄は限界が近いらしく、己の獲物を頼りにしてその場に立っている。その奥にいる鬼衆合地獄は、今だ殺意鋭く、戦闘への熱意も高く、ころころと鈴のような笑い声を振りまいている。 ...
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【FGO】帝都、喫茶にて

 男は新聞を見つめていた。帝都はいつ行っても真夜中なのに、カフェに入ると窓際からは朝日が差し込んでいて、テーブルにはいつのものかわからない朝刊が置かれている。目前にいる男――岡田以蔵は、それを見てにたりと笑っていた。 「以蔵さん、顔が残念だよ」 「なんじゃあおまん、人の顔見て...
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【FGO】花泥棒

 特異点の聖杯を回収した後、特異点が崩壊しないまま、時空の歪みとして独自の時間をほんの少しだけ歩み始めることがあった。  カルデアの調べによれば、かつて聖杯のあった影響らしい。時間の歪みはいずれ大きな時間の波に流れなくなってしまうから放っておいても問題はないのだが、時折聖杯...
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【FGO】疑ってほしい

※カルデアから逃避行の話  軒先にぶらさがったつららを折り、水の張った庭先の池に放った。噴水を模し たオブジェに当たり、つららはあっという間に砕け散る。氷の破片が跳ねて、頬 に当たった。 「ばぁたれ、目ん玉に当たったらどうするが!」  瞬間、身を隠していた以蔵さんがわたしの...
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