text 【松】「頼むから離れないでくれよ」(32) 窓を背にしている。横目で外を見れば、街は花曇りの薄い灰色の雲に覆われていて、遠い故郷の桜を思い出させた。桜が咲き出す頃の空は、なんだか色彩が薄くてはっきりしない。コントラストが低いそれは既に遠い過去のものだ。 机の上には山のようにプレゼントの小箱が載っている。大小様々なそれは、ホ... 2018.12.19 text