【FGO】2部時空における1.5部背景イベントって主人公の夢なのでは?

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 夢から覚めるのは、いつも唐突だ。見慣れた白い天井、二年も過ごしてくたびれてきた枕とベッド、それに何度涙を吸わせたかわからない毛布にくるまって緩慢に瞬きを繰り返す。
 そう、あれは夢なのだ。遠き極寒の土地、美しき氷炎の世界、空から落ちる種子。狭苦しい車内、息の詰まるような潜航。潜る。どこへ?
「マスター、まぁた寝ちゅうか」
 起きてるもん、と返事をして寝返りを打つ。以蔵さんはいつでもわたしの部屋にいるし、わたしもそれでいいと思っている。
 以蔵さんがベッドに腰掛け、ぎしりと音を立てる。夢の中で、聞いたような音だ。
「わしもここで寝てもえいがか?」
 狭いから嫌だな、という前に以蔵さんはごろりと横になっている。顔が、近い。咄嗟に目をそらせば、以蔵さんにそっと止められた。ごつごつとした手に頬を包まれ、その視線から逃げられない。
「おまん……まあ、えいがよ。今だけじゃき、こっちに居られるのは」
 何が?と返事をするより早く、以蔵さんに唇を奪われた。啄むようなそれは、戯れにしては熱を持ちすぎている。
「おやすみの時間じゃ、のう? ……お嬢さん」
 戯れに触れる指先と、吐息の熱さに当てられる。夢で見たあの冷たさを遠ざけたくて、わたしは手を伸ばしてその熱に応えた。この夢からは、まだ目覚めたくなかった。

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