「暑い……」
「わしはそうでもないけんど」
「サーヴァントはそうだろうね……」
思わず言い方がきつくなってしまって、ふるふると頭を振った。ルルハワでの制作期間も随分と伸び、近頃は執筆活動の間にルルハワのスイーツ巡りに勤しんでいる。
「並んでまで食うっちゅうから大したもんかと思ったらかき氷とは……」
「日本風のは中々お目にかかれないんだもん」
観光地には世界各地の美味しいご飯やスイーツが集まると相場が決まっている。もちろんルルハワの美味しいものもあるけれど、日本、と聞いて郷愁に襲われてしまったのだから仕方がない。
「ほうか、そいたらわしのやつもおまんが決めてえいぞ」
どうしても食べたいっちゅうもんもないきに、と以蔵さんはメニューを眺めながら言う。写真つきのメニューで、見慣れたいちごやメロン、レモンなんかに混ざってグァバやマンゴーなんかも並んでいる。
「二つ……二つかぁ……」
悩む。二つ。よく見たらトッピングに白玉もある。白玉、食べたい。もうそこまできたらあんこも欲しい。メニューを前に真剣に悩みすぎて、横で以蔵さんが笑っていることに気が付くのに時間がかかった。
「必死すぎじゃろ……」
「だって、」
帰れるわけではないから、と言いかけてやめた。そのためにまだ歩みを止めていないのだから。……今は寄り道の最中だけれど。
「抹茶といちご、白玉とアイスも乗せます」
「えいえい、好きにせい。こういうときくらいはしゃげ」
はしゃいでいるつもりなのだが、まだおとなしく見えているのだろうか。それなら、もう少し振り回してみようか。白玉一個あげるから、どこかへ連れていってほしいとか、言ってみようか。
【FGO】かき氷を食べる以蔵とぐだ子の話
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