※非公認二次創作 ※著作者及び制作会社・出版社・歴史とは一切関係ありません
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代わり映えしない景色に飽きたから、歌うことにした。 延々と続く田舎道、道端に生える草花はどれも同じに見え、小さな林に並ぶ木々も変わらない。アイビス。トドロップ。バルサム。アイビスの根本では、羊の親子が草を食んでいた。 つまらない田舎道も、歩きなが...
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都まではあっという間だった。徒歩で半日の道のりは、馬車を使えば半分近く縮まる。何より足が痛くないのが良い。代わりに、腰やら背中が痛いけれど。 荷台から降りて歩く三日ぶりの都は、なんだか人が居すぎていて常にお祭りでもやっているのかな、なんて思えてくる。 道行く人たち...
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神父の朝は早い。 日が昇る前に起き、身体を清め、小瓶に聖水を詰め、朝の礼拝に間に合うように教会の扉を開け、礼拝堂を暖かくしておかなければいけないからだ。 他にも礼拝の前に身体を清めるとか、聖水の小瓶を回収しておくとか色々あるのだが、とにかく早起きが肝要だ。 ...
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六日目の朝、トド松からのおはようがなかった。 「トド松……」 寝ぼけ眼をこすって名前を呼ぶ。今日は俺のほうが早く起きたぞ、お寝坊さんめ。からかうつもりでトド松を探せば、壊れかけた長椅子のベッドの上は空っぽだった。 先に起きて、どこか...
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目が覚めるのは、決まって夜だ。起きてからまずは目元を擦る。こうしないと周りがよく見えない。暗闇に慣れてしまって、今では月光すら眩しい。 窓から差す淡い光に、舞い上がった埃が反射してきらきらと光っている。 ぐるりと周囲を見渡す。かつては開かれていた扉は固く閉じ、楽廊...
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物事には、すべて終わりがある。日が昇れば沈み、雨はいつかやみ、花はいずれ散る。 人の命にも同じことが言える。産まれて生き、そして死ぬ。天に昇って女神様の手を経て再び生まれるとはいえ、生は一度切りなのだ。 終わりは始まりとも言う。沈んだ日は再び昇り、雨は再び巡り、花...
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延々と田舎道が続いている。道は舗装されているけれど、小さな林に並ぶ木々は変わっていない。青白い月に替わって、目映い太陽が昇っている。道々に残るまだらな雪が日を跳ね返している。 教会へ急ぐ。トリスタンは誰かを待っているわけではない。教会を出たら、その足取りはわからなくなっ...
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案内人に連れられて国境を越え、燃やされた村の近くへ辿り着いた。この村で見つかったアカツカの兵装は何者かに持ち出されたらしく、行き先についても案内人が詳しく教えてくれた。 神様予定にない事態で、本来であれば人間に干渉しないという悪魔が案内を勤めている。僕だって神様から遣わ...
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数十年ぶりの天国は何も変わっていない。トリスタンが珍しそうに周囲を見渡していたから、その手を引いてゆっくり神様のもとに向かった。 虹色の噴水に、ジュウシマツが腰掛けていた。僕とトリスタンを交互に見て、満足そうに口元をほころばせる。 「神様、ふたりを待ってるよ ! 」...
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「やっぱり記憶をもったまま転生するのは難しいんだね」 「そもそも、これ何回目 ? 俺たちがおかしいんだよ、記憶をもったままこんなに転生するなんて」 「因果も絡み合って、ついに六つ子になっちゃったしねー ! 」 「来世来世、来世に期待しよう」 松野トド松。松野...
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