【UT】サンズがパピルスに待ちぼうけを食わされる話

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 スノーフルの見張り小屋にいて、ぼんやりと雪を見ている。見張りなのだから、周囲の観察を怠らないのは当然のことだ。まあ、ただ見ているだけなのだが。
 パピルスは、自分の作ったパズルの整備に余念がない。ニンゲンを捕まえるため、と言ってはいるが本人が楽しんでいるところも大きい。何しろ、日課の整備に集中しすぎて約束した昼食の時間に現れないのだから相当だ。
 つまりは今、オイラは待ちぼうけを食わされている。昼食の代わりにはならなそうだ、と思えばくつりと喉がなった。
 さて、いつ気がつくだろう。一人でグリルビーズに行くのは簡単だが、兄弟が腹を空かしているのに自分だけ食べるなんてとんでもないことだ。かといってパズルの邪魔もしたくない。それなら簡単だ、ただここで待つのが一番良い。
 テーブルに肘をついて一眠りしようと目を瞑ったところで、パーカーのポケットがぶるりと震えた。のろのろ取れば、パピルスからと画面に通知が浮かぶ。
「もしもし」
『あッ、兄ちゃん? ごめんねパズルに夢中だったの!』
 今向かっているから、と言う弟の声が林の向こうからも聞こえてくる。随分近いらしい。走ってきたのか、呼吸が少し乱れているように聞こえた。
「いいさ、それくらい。パズルの方はどうだ?」
『バッチリに決まってるでしょッ、グレートなオレさまのパズルだもの!』
「そりゃ良かった」
『兄ちゃんはパズルの調整終わった?』
「あー……ぼちぼちだな、ぼちぼち」
 そうだ、そう言えばパズルの調整をするように言われていたのだった。もちろん、ここでずっと見張りをしていたのだから調整なんて終わっていない。
『ホントに……? じゃ、もうすぐ着くから待っててねッ!』
 電話の音声より先に声が届いて、ぷつりと電話が切れた。さくさくと雪を踏む足音、バトル・ボディにふさふさと当たるスカーフの音、ご機嫌な鼻歌。パズルの整備は上々だったのがすぐにわかった。
 さて、グリルビーズの後に新聞を調達しなくては。クロスワードかお子様クイズか、それくらい準備しておけばパズルには十分だろう。パピルスにまた叱られそうだと思えば、再び喉がくつりと鳴った。

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